注目の論点総点検 保険会社のソルベンシー規制

「最大公約数」である第1の柱に偏重しないERMの高度化を

官民共に本来の健全性規制の意義を深く理解した上で対応を

キャピタスコンサルティング 代表 /森本 祐司

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次年度から導入される経済価値ベースのソルベンシー規制。この規制は「3本の柱」を軸に構成されるが、業界では、第1の柱である「経済価値ベースのソルベンシー・マージン比率」(ESR)の計算方法ばかりに焦点が当たっているように見える。第1の柱は、金融庁自ら「『最大公約数的』なものであり、計算仕様に政策的な措置が適用されている」と公言する。これは、保険会社自身の統合リスク管理(ERM=Enterprise Risk Management)にそのまま適用するには課題も残っているということだ。ここをはき違えると、保険会社のERMを後退させることになりかねない。

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もりもと ゆうじ
東京大学理学部卒、マサチューセッツ工科大学大学院経営学修士。東京海上火災保険(現東京海上日動火災保険)入社。モルガン・スタンレー証券(現三菱UFJモルガン・スタンレー証券)等を経て、07年にキャピタスコンサルティングを設立し代表取締役に就任。日本保険・年金リスク学会副会長。