解説

グローバルサウスへの中国債権増加が経済安全保障に与える影響

国連決議での各国投票行動から浮かぶ中国パワーによる地政学リスクの高まり

元 三菱UFJ銀行 経済調査室 次長(現GX推進機構 上級研究員) /天達 泰章

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米中覇権争いや中国軍による台湾包囲演習、ロシア・ウクライナ紛争などで地政学リスクが強く意識されている。こうした中で、米欧日vs中国(民主主義vs専制主義)の考え方に属さない第三極として「グローバルサウス」の存在感が強まっている。グローバルサウスは、インドやブラジル、タイ、南アフリカのような、主に南半球に位置するアジアやアフリカ、中南米地域の新興国・途上国である約150カ国を指し、貿易や金融支援などの観点で、①G7に近い国、②インドに近い国、③中国に近い国──の3パターンに分類することができる。ロシアを非難する国連緊急特別決議のグローバルサウス諸国の投票行動と中国による中低所得国向け債権割合を分析すると、正の相関が見られる。

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あまたつ やすあき
02年一橋大学経済学部卒、経済学博士。日本銀行金融市場局、総務省自治財政局、内閣府経済財政分析担当、三菱UFJ銀行資金証券部、内閣官房兼内閣府規制改革・行政改革担当大臣直轄チーム、デジタル庁企画官などを経て、24年7月から現職。著書に「経済財政白書」(平成24、25年版)、『日本財政が破綻するとき』(日本経済新聞出版社)。