金融業界では、昨年大手損保4社が企業向け保険において事前に保険料の価格調整を行う不正事案が判明したほか、大手銀行や地域金融機関、生命保険会社などにおいて職員が顧客の金銭を着服する事案も後を絶たない。コンプライアンス(法令順守)の強化が声高に叫ばれる一方、不正や事務過誤の度に増え過剰化した社内ルールへの形式的な対応に現場が疲弊する「コンプラ疲れ」の問題も指摘される。企業を取り巻く社会や環境が大きく変化・複雑化して旧来的なコンプラ対策に限界も見えるなか、「インテグリティー」(誠実さ)を軸にコンプライアンスの目指すべき方向性を探る。
掲載号 /週刊金融財政事情 2024年3月5日号