特集混迷する日本の財政

基金の積み増し問題を契機に、求められる財政効果の検証

EBPM後進国を自覚し、実効性のある取り組みを目指せ

日本総合研究所 調査部長 チーフエコノミスト /石川 智久

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近年、政府が設立した基金の残高が急増し、その運営状況が問題視されるなか、監視・是正ツールとしてEBPM(証拠による政策立案)を活用すべきとの声が強まっている。もっとも、わが国のEBPMは黎明期にあり、実効性を高める取り組みを進める必要がある。①目的に合った手法の採用、②政府内での連携強化、③基金などの個別政策にとどまらない政策パッケージ全体の評価、④予算策定への積極活用、⑤10年程度の整備計画の策定、⑥人材育成──などが重要になる。わが国の財務状況が先進国で最悪の状況にあるなか、基金だけでなく財政全体にEBPMを適用する必要がある。

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いしかわ ともひさ
東京大学経済学部卒。97年住友銀行(現三井住友銀行)入行。三井住友銀行経営企画部金融調査室次長、日本総合研究所関西経済研究センター長、マクロ経済研究センター所長、内閣府政策企画調査官(経済社会システム担当)などを経て、23年8月から現職。