第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト /熊野 英生
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日本銀行は10月30日、31日開催の金融政策決定会合で、新たな金融政策の運営方針を示した。具体的には、イールドカーブ・コントロールについて運用をさらに柔軟化し、事実上の上限としてきた年1.0%を連続指値オペ発動の「目途」に改めることで、その水準を超すことも一定程度許容する方向だ。裏を返せば長期金利をどの程度の水準で釘づけにするのかが不明となり、日本の長期金利やドル円レートの先行きが読みづらくなった。今回、YCCの事実上の形骸化を進めたことで、今後はマイナス金利政策解除の時期に世の関心が強まるが、政府の所得減税をはじめ経済政策推進の動きを踏まえると、その実現は簡単ではなさそうだ。
くまの ひでお
90年横浜国立大学経済学部卒、日本銀行入行。00年第一生命経済研究所入社。11年から現職。専門は金融政策、財政政策、為替・長短金利、経済統計。
掲載号 /週刊金融財政事情