解説

膨張する社会保障費の抑制へ求められる精緻な分析と上限設定

政府予測と実績の乖離が進むなか、現役世代の負担は限界に

法政大学 教授 /小黒 一正

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国立社会保障・人口問題研究所が今年8月に公表した「社会保障費用統計」によると、2022年度の社会保障給付費は138兆7,000億円で、21年度から6兆5,000億円(4.9%)増加した。これは1950年度の集計開始以降、過去最高の値だ。本稿では、今後の社会保障費を巡る①政府の予測と実績の乖離問題と、②現役世代の負担増に関する問題を概説した上で、その解決策を提示する。

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おぐろ かずまさ
京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。97年大蔵省(現財務省)入省後、関税局監視課総括補佐、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、15年から現職。著書に『人口動態変化と財政・社会保障の制度設計』(日本評論社)等多数。