解説これだけでわかる! 注目の経済ニュース

Web限定

平成バブル以来の爆上がり、株価3万円台の資産効果

第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト /熊野 英生

投稿日2023.06.09. /週刊金融財政事情

  • facebook
  • twitter
  • LINE
  • 印刷

政府は、賃上げに伴う物価上昇の好循環実現を目指している。果たして賃上げが好循環実現に向けて一役買っているのだろうか。2022年の総務省「家計調査」(総世帯)によると、全世帯のうち、給与所得者≒勤労者世帯の割合は55.9%にとどまり、残りの大半(34.2%)は年金生活者≒無職世帯が占めている(ほかに、農林漁業者、個人経営者、自由業、法人経営者)。要するに、賃上げ効果はたとえ多くても全世帯の4割強にしか及ばないということだ。
年金生活者は、4月からの年金支給額が前年比で1.9%増えている(66~67歳は2.2%)が、増額幅は22年の物価の伸び(2.5%、総合指数)よりも抑えられている。年金生活者の中には、株式や株式を組み込んだ投資信託を保有している者もいるはずで、彼(女)らが消費マインドを刺激されているとしたら、最近の株価上昇による保有資産額の増加(資産効果)が寄与している可能性がある。

本記事をお読みいただくには
会員登録と購入が必要です。
月額会員の方はログインすると、
続きをお読みいただけます。

まだ登録されていないお客様

パスワードを忘れた方はこちら

くまの ひでお
90年横浜国立大学経済学部卒、日本銀行入行。00年第一生命経済研究所入社。11年から現職。専門は金融政策、財政政策、為替・長短金利、経済統計。