慶應義塾大学 総合政策学部 教授 /白井 さゆり
慶應義塾大学 総合政策学部 教授 /白井 さゆり
投稿日2022.11.25. /週刊金融財政事情 2022年11月29日号
EUを筆頭に、温室効果ガス(GHG)の排出削減効果を取引するカーボンクレジットを通じて、GHG削減目標の達成を目指す取り組みが拡大している。日本では現状、国レベルのカーボンクレジットは制度として存在しないものの、企業の自主参加による「GXリーグ」の設立準備が進んでおり、東京証券取引所では「J-クレジット」の市場取引が試行的に行われている。これまでJ-クレジットの取引の大半は相対取引で価格が公表されていないため、取引拡大のネックとなっていた。取引所での売買によってカーボンクレジットの価格が明確になることは、脱炭素の実現に向けて大きな一歩となる。
しらい さゆり
11~16年に日本銀行政策委員会審議委員。20~21年に英国系ESGエンゲージメント専門会社の上級顧問。現在はアジア開発銀行研究所のサステナブル政策の顧問と複数企業のアドバイザーを兼任。コロンビア大学経済学博士。近著に『カーボンニュートラルをめぐる世界の潮流』『SDGsファイナンス』。