解説

危機長期化で日銀に迫る債務超過リスク

政府は損失補塡に備えつつ、緊密に連携を

日本経済研究センター 金融研究室長/一橋大学経済研究所 准教授 /左三川 郁子

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コロナショックを受け、3月期末の株価が1万9,000円を割り込んだ結果、日銀が保有するETFに2,000億円超の評価損が発生、9年ぶりに損失引当金を計上する。危機が長期化すれば、日銀のETF買い入れ額もさらに増える可能性があり、赤字もしくは債務超過に陥るリスクがある。危機対策としての安定性を確保するため、政府に損失補塡を要請する事態に備えておく必要がある。政府も、市場の信認を失わないために、日銀との「財務面での」協力関係を示し、危機対策の金融政策の安定性を担保していくことが求められよう。

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さみかわ いくこ
90年日本経済新聞社入社。97年日本経済研究センター出向、16年から同金融研究室長。17年から慶應義塾大学経済学部特別招聘教授。19年から一橋大学経済研究所准教授。編著書に『マイナス金利政策』『金融正常化へのジレンマ』等。