一橋大学国際・公共政策大学院 特任教授 /下田 知行
一橋大学国際・公共政策大学院 特任教授 /下田 知行
投稿日2020.03.13. /週刊金融財政事情 2020年3月16日号
新型ウイルスの収束が長引けば、リーマンショック以来のグローバルな金融危機に発展する可能性も皆無ではない。こうした「ブラック・スワン」の出現には、当局が協調して大胆な政策を先回りで発動し、市場の当局への信認を維持することが肝要だ。3月3日のFRBの緊急利下げはこの線に沿った対応であった。こうした中で日銀だけが蚊帳の外ではいられない。市場では日銀の政策対応余地は極めて限られているとの見方が大勢だが、筆者は余地が潤沢とは考えないものの、ECBよりも対応力は高いと考えている。本稿では、筆者が昨年10月21日号の本誌で提案した「YCCの改善案」を軸に、日銀の二段構えの対応策を大胆に予想する。
しもだ ともゆき
89年東京大学法学部卒、日本銀行入行。国際決済銀行(BIS)派遣、信用機構室調査役、金融市場局企画役、金融機構局国際担当総括、国際通貨基金(IMF)日本代表理事代理、松山支店長、企画局審議役等を経て、18年から現職。趣味は世界中の動物園でカバを見て歩くことと宝塚観劇。
掲載号 /週刊金融財政事情 2020年3月16日号