特集あらためて考える金融機能強化法

中小企業支援が不十分で見通しも厳しい注入行は撤退させるべき

根本的問題の解決なくして、すべての金融機関が生き残ることは困難

慶應義塾大学 経済学部 教授 /池尾 和人

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地域経済が衰弱し、融資機会に乏しい状況では、公的資金によって資本を増強しているからといって、中小企業に積極的に融資して支援を行うことがどこまでできるのか疑問だ。オーバーバンキングやオーバーデポジットの問題を解決せずに、金融機能強化法を適用してすべての金融機関に生き残り策を求めても、残念ながら答えは出ないのではないか。

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いけお かずひと
75年京都大学経済学部卒。80年一橋大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学、岡山大学経済学部助教授、京都大学経済学部助教授、慶應義塾大学経済学部助教授を経て、95年同教授(現在に至る)。03年慶應義塾大学大学院経済学研究科委員長。01年から11年まで金融庁金融審議会委員を務める。京都大学経済学博士。