東洋大学 情報連携学部 教授 /益田 安良
公的金融の問題点には、金融システムへの負担という側面がある。公的金融は規模こそ縮小したものの、マイナス金利政策下で民間金融の貸出採算が悪化する中で、民業圧迫の度合いは増している可能性がある。民業補完の役割を担う官民ファンドも、地方銀行の戦略によっては競合の懸念がある。商工中金改革も公的金融全体の位置付けから問い直すべきだ。企業向け与信市場における公的金融のあり方が、あらためて問われている。
ますだ やすよし
58年生。京都大学経済学部卒。富士銀行、富士総合研究所を経て、2002年から東洋大学。この間、16~18年3月、国立国会図書館専門調査員。18年4月から現職。博士(経済学)。
掲載号 /週刊金融財政事情 2018年4月30日号