東洋大学 情報連携学部 教授 /益田 安良
近年、事業承継促進の掛け声のもと、事業者への相続税優遇措置、公的金融機関の融資、信用保証協会の保証などが拡充されてきた。M&Aなど親族外承継は、優良な経営資源が生かされる点で好ましい。しかし、M&Aの対象とならず、親族も社員も承継しない事業を、公的支援により無理やり存続させる意味はない。特に事業承継に係る相続税優遇は、会社員など被用者との不公平を生む。相続税を軽減したいのなら、事業承継には絡めず相続税そのものを見直すべきである。
ますだ やすよし
81年京都大学経済学部卒、富士銀行(現みずほ銀行)入行。調査部、富士総合研究所を経て、02年東洋大学経済学部教授。16年国立国会図書館専門調査員。18年4月から現職。博士(経済学)。
掲載号 /週刊金融財政事情 2018年7月23日号