慶應義塾大学 経済学部 教授 /土居 丈朗
デフレから脱却できないまま平成が暮れようとしている。この30年間に政府債務は4倍超となり、少子高齢化が進展した。今後、日本の経済財政には、人手不足を前提とした成長モデルを描ける産業構造への転換と、社会保障制度の財政基盤確立という継続課題の解決が求められる。そのためには第4次産業革命に順応して成長の果実を得つつ、歳出削減を進めるしかない。令和では、持続性を軸とした「成長」と「削減」の両立という困難なかじ取りが求められる。
どい たけろう
93年大阪大学経済学部卒。99年東京大学で経済学博士号取得。慶應義塾大学専任講師、准教授を経て09年4月から現職。税制調査会委員、財政制度等審議会委員、産業構造審議会臨時委員等の役職を多数歴任。著書は、『入門財政学』、『地方債改革の経済学』(日経・経済図書文化賞、サントリー学芸賞同時受賞)等多数。専門分野は財政学、公共経済学。
掲載号 /週刊金融財政事情 2019年4月29日号