東洋大学 国際学部 教授 /野﨑 浩成
一般企業以上に多様なステークホルダーを抱える地域銀行。地域社会を支える公共的使命と利益極大化を志向する株主への説明責任の狭間で、常に頭を悩ませてきた。さらに、低迷する資金需要や低金利により苦境に立たされている状況下、委縮する収益の株主への配分がこのジレンマを深刻化させている。はたして地域銀行は上場を維持すべきなのか。あるいは非上場化という選択肢があるのか。本稿では、この難問について、適切な解を求めるための視点を提供したい。
のざき ひろなり
86年慶應義塾大学卒。91年エール大院修了。博士(政策研究)。埼玉銀行、HSBC、シティグループ証券、京都文教大学などを経て18年4月から現職。近著に『成長神話という煩悩からいかにして金融は解脱すべきか』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)ほか多数。米国CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員。日経アナリストランキング1位(銀行部門、15年まで11年連続)。15年金融審議会専門委員。
掲載号 /週刊金融財政事情 2019年8月5日号