解説

逆イールド発生は景気後退のシグナルなのか

債務GDP比率拡大のなか、無視できない「占星術」の自己実現ルート

第一生命経済研究所 主任エコノミスト /藤代 宏一

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景気後退のシグナルとして市場で信じられている逆イールド。しかし、FRBが指摘するように、リーマンショック後の日米欧中銀の金融緩和策によってタームプレミアムが低下し、長短金利の逆転現象が起きやすくなっている。そのため、逆イールドが現在も景気後退の先行指標として有効かどうかは微妙なところだ。また、過去のデータから銀行貸出態度を通じて逆イールドが景気後退を招くことを示すのは難しく、逆イールドが景気後退を引き起こすメカニズムを有するのかも判然としない。ただし、理論的根拠に乏しいとはいえ、この「占星術」を信じる市場参加者が多い以上、資産価格下落が実体経済を蝕み、景気後退が自己実現する可能性も否定できない。

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ふじしろ こういち
05年第一生命保険入社、10年から12年内閣府経済財政分析担当に出向、18年参議院予算委員会調査室客員調査員、早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)。