資本市場の発展や「貯蓄から投資へ」の流れの加速、少子高齢化に伴う承継・相続ニーズの増加を背景に、金融機関において富裕層取引の重要度が増している。その中で着目する意義が大きいのが、投資用不動産だ。富裕層は、資産性に優れた不動産、特に将来性のある都心部の投資用不動産を資産ポートフォリオに組み込むことへの関心は高い。
一方で、不動産市場はバブルの様相も示唆され、将来的な見通しが立ちにくくなっている。貸付用不動産や不動産小口化商品を使った相続税対策に厳しい規制を課す26年度税制改正(27年1月1日適用)など、各種税制の見直しで相続時の不動産活用の幅は狭まり、不動産市場に下押し圧力がかかりやすくなっている。
さらに、金利ある世界では、長期的な金利動向を踏まえた顧客行動の変化も見逃せない。金融機関は、富裕層向け不動産ビジネスを強化するに当たり、さらなる知見の向上と囲い込み戦略の推進が求められる。
掲載号 /週刊金融財政事情 2026年6月2日号