第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト /熊野 英生
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日本銀行が3月の金融政策決定会合でマイナス金利を解除したことで、日本は「金利のある世界」へと戻ったとされる。しかし、家計がその恩恵を十分に受けるにはまだ距離感があり、企業も一気に負担感が増すわけではない。その意味で、現時点の金利のある世界は、中途半端な生煮えのままの状態に過ぎない。今後、金利ある世界が本格化へと向かう過程で問題が出るとすれば、ゾンビ企業の破綻や住宅ローン債務者の破産というかたちで現れてくるかもしれない。
くまの ひでお
90年横浜国立大学経済学部卒、日本銀行入行。00年第一生命経済研究所入社。11年から現職。専門は金融政策、財政政策、為替・長短金利、経済統計。
掲載号 /週刊金融財政事情