2000年代に入ってから市場が形成されたネット銀行業界。手数料の低さに加え、デジタル化という社会構造の変化も追い風にシェアを拡大してきた。今年3月29日には住信SBIネット銀行が国内のネット銀行で初めて上場を果たし、4月21日には楽天銀行も続いた。
足元の時価総額は、住信SBIネット銀行が約2,600億円、楽天銀行が約3,260億円(ともに5月17日時点)と堅調に推移しており、上位地銀と比べても遜色のない水準となっている。これは、PERなど他の指標で比較してもおおむね同様だ。
だが、裏を返せば、ネット銀行はまだ「銀行」としてしか市場から評価されていないともいえる。今後、銀行の殻を破って市場の評価をより高めるために、ネット銀行はいかにして独自の成長戦略を打ち出していくべきか。海外のデジタルバンクの事例なども見ながらその道筋を探る。
掲載号 /週刊金融財政事情 2023年5月23日号