特集2検証! 米欧銀「信用不安」の残響

クレディ・スイス「AT1債」の元本削減メカニズム

債権者ヒエラルキー「逆転」との指摘も市場への影響は限定的か

長島・大野・常松法律事務所 弁護士 /吉良 宣哉

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2023年3月19日、スイス連邦金融市場監督機構(FINMA)は、信用危機に陥っていたスイスの金融機関クレディ・スイス・グループ(以下、CS)につき、同じくスイスの金融機関であるUBSと合併する取引を承認するとともに、CSが発行していた「AT1債」と呼ばれる債券の全額が元本削減されると発表した。本稿では、このAT1債の元本削減のメカニズムを分析した上で、国際的な金融規制との関係、今後の金融機関の資本性証券の発行に与え得る影響などについて述べる。

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きら よしや
09年東京大学法学部卒。10年弁護士登録(旧63期)。15~19年金融庁監督局総務課健全性基準室勤務。4年超にわたる金融庁への出向経験を生かし、バーゼル規制を含む金融規制案件全般を取り扱うほか、アセットファイナンス、債権流動化、Jリートを中心とする不動産証券化案件等に深く関与し、企業法務全般にわたり助言を行っている。