第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト /熊野 英生
第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト /熊野 英生
投稿日2022.11.11. /週刊金融財政事情 2022年11月15日号
足元で進む急速な円安は輸入金額を膨らませ、経常収支が赤字化することでさらなる円安を促している。こうしたなか、政府は10月11日に入国制限の上限を撤廃し、28日に取りまとめられた総合経済対策で「観光立国の復活」を掲げた。政府は2019年のインバウンド消費4.8兆円を念頭に「5兆円超の速やかな達成」を目指し、観光によって経常収支、ひいては円安を立て直す算段だ。本稿では、日本の財政が置かれている現状を分析しつつ、インバウンド消費が円安是正、財政回復のための特効薬となるのかを考察したい。
くまの ひでお
90年横浜国立大学経済学部卒、日本銀行入行。00年第一生命経済研究所入社。11年から現職。専門は金融政策、財政政策、為替・長短金利、経済統計。