特集膨張する中国、高まる脅威

改革・開放路線から転換し、「毛沢東」を目指す習政権

強国復権を目指すほど強まる国内の不満と国際監視の目

東京財団政策研究所 主席研究員 /柯 隆

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コロナ禍からいち早く回復した中国は、香港や台湾への圧力を高めるなど国内の統制を強めつつ、経済大国としての立場を背景に国際社会のリーダーの座もうかがっている。その戦略は、経済自由化のメカニズムを導入する「改革・開放」路線からの転換を意味する。共産党による一党支配体制を維持しながら覇権を目指す中国と、米国をはじめとする民主主義国との衝突は免れない。国力増大を目指して強権的になる中国に対して、すでにG7を中心とする世界主要国は中国包囲網を強めつつある。それに立ち向かうために、習政権はいっそう強権的になると考えられ、中国情勢は負のスパイラルに陥っている。

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か りゅう
63年中華人民共和国・江蘇省南京市生まれ。88年来日、愛知大学法経学部入学。92年同大卒業。94年名古屋大学大学院修士課程修了(経済学修士号取得)後、長銀総合研究所国際調査部研究員、富士通総研経済研究所主席研究員などを経て18年から現職。著書に『「ネオ・チャイナリスク」研究』(慶應義塾大学出版会、21年)ほか多数。