財政評論家 /米澤 潤一
財政評論家 /米澤 潤一
投稿日2021.03.26. /週刊金融財政事情 2021年3月29日号
基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)の赤字は縮小傾向にあったが、コロナショックで一気に吹き飛んだ。税収減に鑑みれば2021年度当初予算のPB赤字増大はやむを得ないが、20年度補正予算の中身を見ると、財政規律のタガが外れた感がある。少子高齢化などに伴う成長率の鈍化に逆らって財政拡張を続けても、経済は改善しない。財政再建こそ最大の成長戦略だが、歳出削減の余地は限られており、国民の負担増を少しずつ進めるしかない。低金利の恩恵で国債の利払い費が抑制されている今のうちに、PB均衡に向けた努力を進めるべきだ。
よねざわ じゅんいち
63年東京大学法学部卒、大蔵省(現財務省)入省。主計局主計官、理財局国債課長、同局次長、関税局長等を歴任。退官後日本銀行理事等を経て04~12年金融情報システムセンター理事長。この間、政策研究大学院大学等で客員教授。『国債膨張の戦後史』(きんざい)ほか、財政関連著書論文多数。
掲載号 /週刊金融財政事情 2021年3月29日号