解説

マイナス金利を深掘りしなくても、YCCの「改善」で緩和強化できる

5年物金利の操作対象追加で緩和の持続と副作用対策を両立

一橋大学国際・公共政策大学院 特任教授 /下田 知行

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欧米中銀が金融緩和を再開するなか、日銀の対応力が注目されている。市場では「日銀は『弾切れ』」と懐疑的な見方が強いが、マイナス金利の深掘りをせずとも、日銀はイールドカーブ・コントロール(YCC)の「改善」で緩和効果を高めることができると考える。なお、筆者の前職は日本銀行であるが、本稿は公開情報をもとにした私見であり、特に予想にかかわる部分については、筆者の見識に対する読者の信頼の変化は甘受するとしても、予想を信じたことにより生じた損害等にはいっさいの責任を有しないことをお断りしておきたい。当然、一般に知りえない情報も含まれていない。

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しもだ ともゆき
89年東京大学法学部卒、日本銀行入行。国際決済銀行(BIS)派遣、信用機構室調査役、金融市場局企画役、金融機構局国際担当総括、国際通貨基金(IMF)日本代表理事代理、松山支店長、企画局審議役等を経て、18年から現職。趣味は世界中の動物園でカバを見て歩くことと宝塚観劇。