東京大学大学院 経済学研究科 教授 /渡辺 努
東京大学大学院 経済学研究科 教授 /渡辺 努
投稿日2023.03.31. /週刊金融財政事情 2023年4月4日号
四半世紀にわたりデフレから脱却できなかった日本経済。その背景には、企業が販売する製品の価格据え置きに併せて、賃上げも行わない「日本版賃金・物価スパイラル」の構造があった。しかし2022年春以降、「消費者の値上げ耐性」「企業の価格転嫁」「労働者の賃上げ要求」において、大きな行動変容が見られる。物価も賃金も上昇する好循環を継続させるには、人々の「インフレ予想」を高め、定着させると同時に、「賃金予想」も高めで安定させることが必須となる。
わたなべ つとむ
82年東京大学経済学部卒、日本銀行入行。92年ハーバード大学Ph.D. 11年から現職。「東大日次物価指数(現日経CPINow)」の開発をもとに、15年ナウキャストを創業し、現在は技術顧問。
掲載号 /週刊金融財政事情 2023年4月4日号