特集広がる賃上げ〜慢性デフレ脱却の足音

負の循環から抜け出した日本の「賃金・物価スパイラル」

慢性デフレから脱却するには物価も賃金も上昇する好循環の継続が必須

東京大学大学院 経済学研究科 教授 /渡辺 努

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四半世紀にわたりデフレから脱却できなかった日本経済。その背景には、企業が販売する製品の価格据え置きに併せて、賃上げも行わない「日本版賃金・物価スパイラル」の構造があった。しかし2022年春以降、「消費者の値上げ耐性」「企業の価格転嫁」「労働者の賃上げ要求」において、大きな行動変容が見られる。物価も賃金も上昇する好循環を継続させるには、人々の「インフレ予想」を高め、定着させると同時に、「賃金予想」も高めで安定させることが必須となる。

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わたなべ つとむ
82年東京大学経済学部卒、日本銀行入行。92年ハーバード大学Ph.D. 11年から現職。「東大日次物価指数(現日経CPINow)」の開発をもとに、15年ナウキャストを創業し、現在は技術顧問。