解説

量的緩和終了を決めたECB金融政策の行方

正常化への道のりは長く、その過程には景気悪化や物価下振れリスクも

みずほ総合研究所 ロンドン事務所長 /山本 康雄

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欧州中央銀行(ECB)は量的緩和(QE)政策を2018年末で終了することを決定した。QEは各種スプレッドの低下を通じて、特に南欧諸国の景気回復をもたらし、ユーロ圏のデフレリスク払拭に貢献した。一方で、不動産価格高騰などの副作用も出始めていた。バランスシート縮小、金利水準の正常化に至る道のりは長く、その過程で景気悪化や物価下振れのリスクがある。金融政策の正常化は、19年10月に任期満了を迎えるドラギ氏の次のECB総裁の責務となる。中長期的なユーロの安定には通貨統合の深化が不可欠だが、イタリアでポピュリスト政権が成立するなど、政治的な抵抗は引き続き強い。

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やまもと やすお
93年東京大学法学部卒、三和銀行(現三菱UFJ 銀行)入行。95年日本経済研究センター出向、96年三和総合研究所(現三菱UFJ リサーチ&コンサルティング)。02年UFJ ホールディングス(現三菱UFJ フィナンシャル・グループ)、05 年みずほ総合研究所入社、経済調査部にて主に日本経済を担当。14年から現職。