日本総合研究所 マクロ経済研究センター 所長 /西岡 慎一
円安進行が経済の好循環を阻んでいる。とりわけ中小企業では、円安が収益減少を通じて賃金を下押ししている可能性は否めない。わが国では、中小企業の持続的な賃上げが「失われた30年」からの脱却のカギを握るだけに、今次の円安進行は政府・日本銀行にとっても看過しづらい。ひとまず為替介入で歯止めをかけたようにも見えるが、現在の円安進行が日米金利差拡大に起因し、その底流にわが国の生産性停滞がある以上、成長力強化策は欠かせない。
掲載号 /週刊金融財政事情 2024年5月28日号