解説

逆転! 私的整理の再生計画における二次納税義務否定の控訴審

債務免除で会社が受けた利益なし、破産時の配当額に基づく判断に

潮見坂綜合法律事務所 弁護士 /鈴木 正人

大知法律事務所 弁護士 /村上 雅哉

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私的整理では、金融機関が債権放棄に応じる代わりに、経営者は会社(債務者企業)に対する債権の放棄を求められることが一般的である。だが、経営者が税金を滞納していると、当該経営者から債権放棄を受けた債務者企業に対し、第二次納税義務が課される可能性がある。金融機関に債権放棄に応じてもらっても、第二次納税義務を課されると、企業の再建に支障を来すことになりかねない。本判決(東京高裁2021年12月9日判決)の原審(東京地裁20年11月6日判決)は、この第二次納税義務を認めたが、控訴審は、債務者企業が債務免除により受けた利益は存在しなかったとして、第二次納税義務を否定した(上告せず確定)。本稿では、原審と控訴審で判断が分かれた点にフォーカスして判決の概要を紹介する。

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すずき まさと
弁護士・ニューヨーク州弁護士登録。10年から11年まで金融庁・証券取引等監視委員会事務局証券検査課課長補佐、専門検査官。主な業務は金融機関への支援等。

むらかみ まさや
03年弁護士登録。大知法律事務所パートナー弁護士。現在に至るまで訴訟案件や事業再生案件を中心に企業法務に幅広く関与している。