慶應義塾大学 総合政策学部 教授 /白井 さゆり
日本銀行が異次元緩和と称される量的・質的緩和の金融政策を導入してから9年が経過した。だが、日銀が目指す安定的な2%物価上昇はいまだ実現できず、金融緩和の出口は見えない。片や米国などは、加速するインフレを抑制するため日本とは対照的な金融政策に転換しており、急ピッチで利上げを進めている。この日米金利差などから円安が進み、足元の物価高に拍車を掛ける「悪い円安」の様相も呈している。アベノミクスで大胆なかじを取ってきた金融政策や財政政策はどうあるべきか。本シリーズでは、有識者のインタビューを通じてこの論点に真正面から迫る。第1回は、日銀政策委員会の審議委員を務めた慶應義塾大学の白井さゆり教授に聞く。(編集部)
しらい さゆり
89年慶應義塾大学大学院修士課程修了。93年コロンビア大学経済学部大学院博士課程修了(Ph.D.取得)。93年国際通貨基金(IMF)エコノミスト。98年慶應義塾大学総合政策学部助教授を経て、06年同大学教授。07年パリ政治学院客員教授。11年4月~16年3月日本銀行政策委員会審議委員。16年9月から現職。
掲載号 /週刊金融財政事情 2022年5月31日号