解説

緊急解説 日銀金融政策の「点検」に透けて見える諦めの境地

構造改革が停滞すれば、超緩和策は単なる「痛み止め」に

東短リサーチ 社長 兼 チーフエコノミスト /加藤 出

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今回、日銀が「点検」を行った背景には、2%のインフレ目標達成時期が見通せず、超緩和策の長期継続以外に選択肢がなくなったことがある。10年国債金利の変動幅の「明確化」は、出口政策に近づくようなインフレ率上昇は当面起きないだろうという「諦めの境地」からきているといえる。「貸出促進付利制度」は導入したが、マイナス金利深掘りを実施せず、依然としてその手を温存したい意図がうかがわれる。平時のETF購入を抑える方向にシフトしたが、こうした持続性を高めた超緩和策も、政府が構造改革によって企業の競争力・成長力を引き出さなければ、単なる「痛み止め」にとどまってしまう。

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かとう いずる
88年4月東京短資入社。コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを兼務後、13年2月から現職。マネーマーケットの現場の視点から日銀、FRB、ECB、BOE、中国人民銀行などの金融政策を分析。07~08年度東京理科大学経営学部、09年度中央大学商学部、20年度成蹊大学経済学部で非常勤講師。著書・連載コラム多数。