野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト /木内 登英
野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト /木内 登英
投稿日2017.10.23. /週刊金融財政事情 2017年10月23日号
プルーデンス政策において、金融庁と日本銀行の業務が十分に調整されていないという問題意識を、筆者は長らく抱いてきた。第1は、ミクロ・プルーデンス政策における金融庁の検査と日本銀行の考査の業務重複である。90年間も続くこの枠組みは、金融機関に長らく大きな負担をもたらしてきた。第2は、マクロ・プルーデンス政策において金融庁と日本銀行の責任や役割が明確でないという問題である。金融環境がにわかに不安定化する際に、マクロ・プルーデンス政策を担う主体や責任の所在が不明確なままでは、必要な対応を機動的にとることができないだろう。金融庁の組織再編に際しては、こうした日本銀行との業務調整という論点もあわせて考慮されるべきではないか。
きうち たかひで
早稲田大学政治経済学部卒。87年に野村総合研究所に入社後、90年に野村総合研究所ドイツ、96年には野村総合研究所アメリカにそれぞれ勤務。07年に野村証券金融経済研究所・経済調査部長兼チーフエコノミスト。12年に日本銀行の政策委員会審議委員に就任し、金融政策その他の業務を5年間担った。