人口減少や低金利環境の継続といった問題に直面し、収益を悪化させる地銀が経営統合に向けた動きを加速させるなか、昨年末、公正取引委員会は初めて同一県内の上位2行による経営統合計画を承認した。公正取引委員会は、大規模な需要者アンケートを実施するなどして把握した実態に基づいて、本件統合後も競争は維持されると結論づけ、詳細な審査結果を公表した。本稿では、当該審査を担当した筆者が審査結果を解説するとともに、本件審査結果が今後の地銀統合案件に与えうる示唆について論じる。