みずほ証券 チーフクレジットストラテジスト /大橋 英敏
みずほ証券 チーフクレジットストラテジスト /大橋 英敏
投稿日2018.01.08. /週刊金融財政事情 2018年1月8日号
米欧の中央銀行が物価目標2%未達でも金融緩和政策の出口を模索する理由は、金融機関の収益性を犠牲にした量的緩和には限界があると認識されているためであり、すでに「物価は脇役」となっている。本邦金融機関の収益性悪化はすでにマスコミ等の話題となっており、とりわけ地域金融機関の低収益性は、地域経済に不安感を投げかける有力な材料になりうる。地域金融機関を中心とする収益性悪化は今後も続く見通しであり、日銀は金融システム不安を招く前に金融政策の正常化を進める必要がある。その時期を先送りすると出口にすら立てないリスクが増大する。残された時間は長くない。
おおはし ひでとし
91年日本生命保険入社、00年モルガン・スタンレーMUFG証券にてクレジットストラテジスト業務を開始。投資助言会社経営を経て15年12月から現職。著書に『クレジット投資のすべて』など。
掲載号 /週刊金融財政事情 2018年1月8日号