東洋大学 教授 /野﨑 浩成
3月に発表された金融検査マニュアル廃止をはじめとする金融行政改革は、金融業界に大きな衝撃を与えた。それは、かつて護送船団方式での保護的行政運営から業態間の垣根を取り除く大競争時代に移行したときと同等か、それ以上に大きなインパクトがある。しかし、20年間に及ぶ行政態様は各金融機関の深層部にまで浸透しており、すぐさま今後の経営の転換を図ることは容易ではない。本稿では、金融業界・金融行政の課題と展望を考察する。
のざき ひろなり
86年慶應義塾大学卒。91年エール大学大学院修了。博士(政策研究)。埼玉銀行、HSBC、シティグループ証券、京都文教大学などを経て18年4月より現職。近著に『成長神話という煩悩からいかにして金融は解脱すべきか』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)ほか多数。米国CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員。日経アナリストランキング1位(銀行部門・15年まで11年連続)。15年金融審議会専門委員。
掲載号 /週刊金融財政事情 2018年5月14日号