解説

金融史から見た「暗号通貨」と金融規制の行方

信用・仲介・規制の組合せを実現していく契機

一橋大学 経済学研究科 教授 /齊藤 誠

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膨大な計算資源と莫大なレント(超過利潤)という代償を払って信用と仲介を追放し、従来の金融規制から自由を得た仮想通貨(以下、暗号通貨)は、次の世代になると、ふたたび信用と仲介に依拠すると同時に、従来型の規制に服せざるをえなくなる公算が高まった。暗号通貨の普及は、信用・仲介・規制の望ましい組合せを実現していく契機と考えるべきである。

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さいとう まこと
京都大学卒業、MITPh.D.、住友信託銀行、UBCなどを経て01年から現職。専門分野はマクロ経済学。01年日経経済図書文化賞、07年日本経済学会・石川賞、08年エコノミスト賞、12年石橋湛山賞を受賞。14年春に紫綬褒章受章。近著に『危機の領域』(勁草書房)。