立正大学 経済学部 教授 /池尾 和人
米国を中心とした規制当局は、グローバル金融危機を防げなかったという原罪を負った。そのことが危機後の国際金融規制改革にも反映され、結果として伝統的な金融機関のリスクテイクの脆弱化、すべての規制を実施した際の複合的な効果が不透明になっていることなど、対症療法的な措置による弊害が目につくようになっている。規制のアーキテクチャーを根本的に見直すために、衆知を集めて議論をする必要がある。
いけお かずひと
75年京都大学経済学部卒。岡山大学経済学部助教授、京都大学経済学部助教授、慶應義塾大学経済学部助教授、同教授を経て、18年4月から現職。03年慶應義塾大学大学院経済学研究科委員長。01年から11年まで金融庁金融審議会委員を務める。京都大学経済学博士。
掲載号 /週刊金融財政事情 2018年9月10日号