大和総研 政策調査部長 /鈴木 準
厚生労働省から公的年金に関する財政検証の結果が公表された。それによると、経済成長と労働参加が進むケースでは、マクロ経済スライドによる給付調整を進めても所得代替率が50%を上回るという結果が得られたが、一定程度しか進まないケースでは、2040年代前半には所得代替率が50%に達してしまうという。ほかにも、短時間労働者への厚生年金保険の適用拡大や受給開始時期の選択肢拡大などによるオプション試算も公表された。今後は、試算結果に基づき、年金改革の議論を深めていくことが急務である。
すずき ひとし
東京都立大学卒。90年大和総研入社。経済調査部長などを経て、17年から現職。現在、政府の経済財政諮問会議専門委員、男女共同参画会議専門委員、社会保障制度改革推進会議専門委員などを務める。
掲載号 /週刊金融財政事情 2019年9月23日号