特集長期化する「円安」の本質

長期的には企業・国民双方に負の影響を与える円安効果

適正な為替水準の維持には、経済の実力向上がカギ

東京大学大学院 客員教授 /宮崎 成人

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日本は過去何度か激しい円高を経験し、パニック的に円高を忌避するのが習性となっていた。しかし、輸入に頼るエネルギーなど一次産品の価格上昇に加え、製造業の海外生産シフトやサービス業の重要性の高まりといった構造変化を受け、近時は円安のコストが強く意識されるようになってきた。その結果、昨今の円安に直面して対応を求める声が高まっている。本稿では、ドル高円安の背景を考察し、あるべき通貨政策について議論していく。

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みやざき まさと
84年東京大学法学部卒。財務省主計官、副財務官、IMF戦略政策審査局審議役などを歴任。現在、東京大学大学院客員教授、三井住友信託銀行顧問。著書に『教養としての金融危機』(講談社現代新書)。