日本総合研究所 調査部 主席研究員 /河村 小百合
日本銀行は7月に、イールドカーブ・コントロール(YCC)の実質的な上限を1%まで拡大するなど、徐々に金融政策の正常化へ向けた道筋を探っている。その一方で、足元では物価上昇が賃金上昇を大幅に上回るなか、その状況を打開するような具体的な対策に乗り出せないままでいる。異次元緩和の長期化のひずみで積み上げられた、大量の国債を巡る利払い費の増加など、財政問題も取り沙汰される。日本総合研究所の河村小百合主席研究員は、こうした金融政策や財政政策に携わる日銀や政府の政策運営姿勢が無責任だと批判する。(編集部)
かわむら さゆり
京都大学法学部卒。19年から現職。財政制度等審議会財政制度分科会委員。近著に『日本銀行 我が国に迫る危機』(講談社現代新書、23年)。
掲載号 /週刊金融財政事情 2023年9月12日号