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出口戦略の急激な金利引き上げで債務超過リスクの顕在化も

金融正常化の過程で日銀が抱える損失を、4つのシナリオで試算

日本経済研究センター 金融研究室長 /左三川 郁子

投稿日2023.07.07. /週刊金融財政事情

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日本銀行は6月の金融政策決定会合で大規模緩和の維持を決めた。だが、足元では物価上昇が続いており、5月の消費者物価指数(CPI)は総合や生鮮食品を除くコアでいずれも2%を大きく上回っている。日銀の植田和男総裁は、拙速な緩和修正に慎重な見方を示す一方で、イールドカーブ・コントロール(YCC)の修正については「ある程度のサプライズはやむを得ない」と述べた。本稿では、日銀が年内にYCC見直しに動いた場合に日銀に発生する損失を試算し、望ましい出口戦略について考える。同試算は筆者と中野雅貴氏(日本経済研究センター2019年度委託研究生)との共同研究に基づいている。

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さみかわ いくこ
90年日本経済新聞社入社。97年日本経済研究センター出向、16年から同金融研究室長。19年から一橋大学経済研究所准教授。21年より現職。編著書に『マイナス金利政策』『金融正常化へのジレンマ』等。