特集激震走る! 金融規制・監督

市場を驚かせたクレディ・スイスAT1債の真実

救済処理時における優先劣後逆転は想定された事態

農林中央金庫 エグゼクティブ・アドバイザー(国際規制担当) /秀島 弘高

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規制上の自己資本は、損失を吸収できなければならない。クレディ・スイスの救済処理を巡る動きの中で「その他Tier1債券」(AT1債)が全損となったが、優先劣後関係が逆転する可能性は事前に明らかだった。この点を含め、今回のクレディ・スイスの処理事例は「成功」と判断できる要素が多い。ただし市場ではさまざまな意見があり、今後「AT1債の損失発生のケースを減らすのであれば、Tier1に算入させるべきではない」という方向に議論が進む可能性がある。米国も含めた今回の一連のケースから学べる点は多く、今後の検証に基づいて教訓を得ることが必要だ。

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ひでしま ひろたか
89年4月日本銀行入行。バーゼル銀行監督委員会事務局に出向した後、自己資本定義部会共同議長、監督委員会メンバー、マクロプルーデンス部会共同議長などを歴任。金融機構局審議役、検査室長を経て、21年4月から現職。